女子硬式野球部 情報 - 管理人
2025/07/01 (Tue) 08:50:35
第2の人生で「不幸になっては無意味」 甲子園常連の名将が力説…現代の野球部の在り方
★神成裕理事長から持ちかけられるも、当初は「リサーチさせてください」
埼玉・浦和学院高を監督として甲子園常連に育て上げ、2021年夏に退任していた森士(もり・おさむ)氏が今年4月、同校に女子硬式野球部を創部。自ら部長に就任し、1年生のみの部員11人(選手10人、マネジャー1人)とともに新たなスタートを切った。男子野球部監督在任30年で春10回・夏12回の甲子園出場に導き、プロ野球選手を19人輩出してきた名将は61歳となった今、なぜ女子野球に乗り出したのか。
「女子野球部をつくったらどうだ?」。森氏が神成裕理事長からこう持ち掛けられたのは、男子野球部監督を退任した翌年の2022年のことだった。「当初は右も左もわからず、『リサーチさせてください』とお答えするしかありませんでした」と苦笑する。
その後、「男子野球部OBのお子さんたちにも、女子野球を始めている方々がいて『もし浦和学院に女子野球部ができたら行きたい』との声を聞いた」ことから創部を決意。「野球の競技人口が少子化の8倍ものスピードで減ってしまっている中、女子野球人口は増えている。野球復興の起爆剤にして、野球界に恩返しができれば」との思いもあった。
昨年6月から入部希望者の募集を始め、「野球ができるギリギリの人数」の10選手での船出となった。早速「ジャイアンツ杯争奪ヴィーナスリーグ」に参加。1年生のみのチームで上級生相手に奮闘し、6月29日現在、1勝4敗で同リーグ「グループA」9チーム中8位となっている。「選手たちはひたむきに頑張っています。僕は高校野球に長年携わってきましたが、新たな気付き、感動を覚えています」と感慨深げだ。
一方で、森氏は2022年4月にNPO法人「ファイアーレッズメディカルスポーツクラブ」を立ち上げ、理事長に就任。小中学生向けの野球塾、女子バスケットボールコースなどを運営している。昨年7月には女子野球コースも新設。業務委託の形で浦和学院高女子硬式野球部をサポートし、「部活動の地域移行の受け皿となり、時代の流れの中でモデルケースになっていければと思っています」と語る。
★“文武両道”を掲げるワケ「社会に出た時に不幸になっては意味がない」
「戦う以上は、全国制覇を目指します」と力を込める森氏。同時に「これからの世の中では、AIが作業を担い、人間には“ゼロイチ”の発想力が求められる。高校球児も野球さえやっていればいいという時代ではありません」と強調する。女子硬式野球部のチームスローガンとして「文武両道」を掲げ、鍼灸師、理学療法士ら医療スタッフの他に、学習支援スタッフも整えているという。
「男子野球部の監督時代も、僕は生徒たちに勉強をやらせていました。授業中に寝ててもいいという指導をしたことはなく、授業中に教室を回ったりしていました。実際、入学時よりも学力が上がる部員が多かったのです」と振り返りつつ、「プロ野球選手になって華々しい活躍をしたとしても、社会に出た時に不幸になっては意味がない。セカンドキャリアも視野に入れて、そういうところを広めていかないといけない」と学業を重視する。
男子野球部の監督は、長男の大氏に引き継がれ、2022年の選抜大会ではベスト4入り。今春の埼玉県大会も制し、夏に向けて爪を研いでいる。その一方で森氏の新たなチャレンジも、着々と形になりつつある。
2025年7月1日 Full-Count配信